電車やバスの路線図はよく知られていますが、従来の路線図で求められていたものは、路線網が視覚的にわかるグラフィックでした。
緻密で複雑な路線網を適度なデフォルメで表現しています。
一般的な地図では、位置関係や距離などを正しく把握するために縮尺しなければならないのですが、路線図は位置関係などの正確な縮尺はあまり必要とされていません。
日本では明治37年(1894年)に初版が発行された時刻表「汽車汽船旅行案内」が明治37年(1904年)に掲載した鉄道地図が初めとされており、縮尺を正確に鉄道を描いたものでした。
これは、鉄道路線網の密度が低い時代だったため地図をデフォルメする必要がなかったためと考えられています。
時代が進むにつれて、路線網が複雑になり、全ての路線を水平に伸びる直線と90°もしくは45°で表現し、複数の色で区別するデザインが知られていますが、日本でこの方式を取り入れたのは、1970年の帝都高速度交通営団(東京メトロ)が最初と言われています。